5年近く使っている炊飯器の窯がおしゃかになりつつあるので新しく炊飯器を買う事にした。
今までは炊飯器なんて米が炊ければそれでよいと思っていたが、せっかく買い替えるので今まで全くなかった炊飯器知識を詰め込んで自分的に理解してから購入しようと考えた。
予算は上限3万円で見て各メーカー事の特徴、ポイントを見て最高で最適な炊飯器を選択した記録をつらつらと語っていく。
炊飯器の良し悪しは何処で決まるのか
カタログを見ても正直初見じゃ全くわからない。PCやスマホの知識がない人がカタログ見たらこんな感じなんだと初心に帰る事が出来た。
結論から言うと炊飯器の良し悪しは、炊飯器のタイプ、内窯の質、炊飯器の機能の3つで判別できる。
炊飯器のタイプ
炊飯器のタイプは全部で8種類ある。完結に性能を書くと下記の様になる。
炊飯器のタイプは自分の好きな炊きあがり方や好みの味の傾向によって良し悪しが変わるので一概に機能が少ないから悪いというわけではない。好きな炊きあがり方や味のタイプを選ぼう。
・マイコン式
一つ目がマイコン式タイプの炊飯器。内窯の下にあるヒーターをマイコンで火力を調節しながら炊き上げる方式。内窯の底面から全体を温めるので火力にムラが出来る。そのため炊き上げる合数が大きいほど苦手だが値段が安い。
・IH式
マイコン式の次に出たタイプの炊飯器。IH式は底面から温めるのではなく、窯全体が発熱するので全体温度もマイコン式に比べ高く火力ムラが出来にくい。現在主流の型。値段はマイコン式に比べたら高いが安め。普通のグレードは2層タイプ、高級な型は5層等ヒータの数によって優劣が出る。
・圧力IH式
IH式に圧力機能をプラスした型。圧力を抜くことによってお米を内部でかき混ぜることができ、IH式よりさらにムラができないように炊くことが可能。これによりもっちりとした食感の米を炊くことが可能に。
・可変圧力IH式
圧力IH式の圧力を可変式にしたもの。圧力の可変が出来る事によって硬さの調節が可能に。もっちり目が得意だけど硬さも調節できる型。
・スチームIH式
IH式にスチーム機能を追加した型。100度以上の水蒸気でご飯の硬さや甘さのコントロールが可能。よい意味でやや硬めのご飯が炊ける。
・スチーム圧力IH式
スチームIH式に圧力機能を足した型。圧力式のもっちりさとスチーム式の甘さを出した米を炊くことが出来る。
・真空IH式
IH式に真空機能を追加した型。内窯を真空にすることによって米に水を芯までしみこませることが出来ふっくらしたご飯を炊くことが出来る。保温機能も優れており、通常の炊飯器より長くおいしく保温ができる。
・真空圧力IH式
真空IH式に圧力機能を追加した型。保湿特化の真空式に圧力式のもっちりふっくらさを足したタイプ。
圧力IHは圧力によって時短が出来たり、真空IHやスチームIHは保温機能が強いというメリットはあるが米のうまみに関しては先ほども言った通り好みの部分が大きいので米の味を求める人は私の記事以外にも色々と探してみることを強くお勧めする。
内窯の質
次に内窯の質の話。
・窯の厚み
内窯は基本的に厚いほど、沸騰高温状態が維持出来ご飯がおいしく炊きあがる。しかし、圧力IH式は構造上IH式より窯の厚みが出しづらいのでIH式と圧力IH式での窯の厚みの比較は注意が必要。
・窯の素材
基本的に熱伝導性が高く、蓄熱性がある素材の窯が優位。各社メーカーのグレード事に使用素材が違うので下表を参考に選んでほしい。
熱伝導性 | 蓄熱性 | |
ステンレス | △ | ◎ |
アルミ | 〇 | △ |
鉄 | 〇 | 〇 |
銅 | ◎ | ◎ |
炭素 | ☆ | 〇 |
・窯のコーティング
内窯はコーティングを施している物が大多数でコーディングは蓄熱、熱伝導性をアシストしてくれる補助的な機能。当たり前だがコーティングが無いものよりあるもの方が優秀なので同じ値段帯ならコーディングも気にして見てみるとよい。
炊飯器の機能
最後に炊飯器の機能について。
各社様々な機能があるが、自分の使う機能を重視した選択をお勧めする。
ご飯をよりおいしく味わいたい人は「炊き分け機能」が豊富な物だと安心できる。
炊き分け機能は「かため」「やわらかめ」「普通」等ご飯の硬さを調節できる機能。この指標が多ければ多いほど米の炊きあがりの表現が多く可能になるので取り敢えずおいしいご飯を食べたい人は「炊き分け機能」を注目して購入するべき。
炊き分け以外にも米が早く炊ける急速機能や米以外を作る調理機能等あるので各カタログを見て決めてほしい。
メーカー事の強みと違い
炊飯器のスペックで見るべき部分が分かった所で、次は各メーカー事の違いについて話す。
炊飯器を出している主メーカーは
パナソニック、象印、日立、三菱、タイガー、東芝、アイリスオーヤマ、バーミキュラの7社が有名処。
他にも炊飯器を出しているメーカーは存在するが主力製品としては出していないので今回はこの7社の違いをざっくりあらわしてみる。
・パナソニック=中位機種はIHの層が多かったりと火力にこだわりを感じる。【上位機種には可変圧力式+スチーム機能】も搭載している。特に上位機種のスチーム機能の出来が凄い。
・象印=中位機種まではオールラウンド。上位機種は高圧力が売り。圧力IHの気圧は【最大1.3気圧】と業界最高峰。
・日立=上位機種の値段が3~5万と安い。パナソニックの上位機種には劣るが安い値段でスチーム機能を搭載している。水蒸気が出ない【蒸気カット】機能を搭載している面も強い。
・三菱=圧力はあえて欠けないでIH式を主に販売しているメーカー。上位機種は窯が強く本物の炭を主材とした【本炭窯】を採用している。
・タイガー=内窯にこだわりをもったメーカー。上位機種は【本物の土鍋】を使用している。中位機種も他社に比べ内窯の素材にこだわっている。窯だけでなく可変圧力IH式にも強い。
・東芝=保温機能に特化したメーカー。【真空IH式を出している唯一のメーカー】で真空機能により保温性能が他社よりかなり強い。
・アイリスオーヤマ=最上位機種でも安い。【銘柄炊き】があるので米に合わせてメニューを選ぶことが出来る。
・バーミキュラ=あっと言う間で有名なT-falの炊飯器。遠赤外線によって米一粒一粒を立てる事が出来る。値段は高め。
ざっくりとメーカー事の特徴をとらえて書くとこんな感じ。各グレード事に細かい特徴もあったりするけどそこまでの説明はいらないと判断したのでこのくらいにしておく。
炊飯器のグレード
スマホみたいな感じでローグレードミドルグレードハイグレードの3種類に大まかに分かれている。基本的には上記した炊飯器のタイプ、内窯の質、炊飯器の機能を値段帯事に上げたり下げたりして販売している。
1~2万円・・・各社ローグレード、マイコン式~IH式炊飯器が多め、機能もシンプルな物が多い。内窯も最低限な質。
2万円後半~5万円・・・各社ミドルグレード、圧力IHや真空IH等、IH式に+αした物が多く、内窯の質は高め。
5万円以降・・・各社ハイグレード、各社毎にIHの配置が特別だったり、窯が本土鍋だったり、保湿が最強だったりと特色が強く出たモデルが多い。
3万円で買える個人的おすすめ炊飯器
ここまででざっくりと炊飯器の良し悪しについて話してきたので、これを踏まえた上で今回購入した炊飯器と上限3万円で買えるおすすめの炊飯器を紹介しようと思う。
米本来の味を出したい人向け炊飯器
上限3万円で米本来の味を出したい人はこの炊飯器をお勧めする。
パナソニック 炊飯器 5.5合 5段全面IH ブラック SR-HBA101-K
・IH式により米本来の味が出やすい(銘柄が引き立つ)
この炊飯器は圧力も何もないIH式だが、IH式は圧力式に比べ米本来の味が出やすい特徴がある。そのため米本来の味を出したい人はIH式の方が良かったりと性能があれば良いというわけではないのが炊飯器界隈の面白い所。
・5段ヒーター内臓で火力高め
IH式は熱が全体に伝わりやすい代わりにそもそもの火力が弱い。その火力の低さを通常2段ヒーターを5段ヒーターにすることによって火力の引き上げをしているのがこの商品。
・内窯は1.7mダイヤモンド銅釜
内窯の基材はアルミとステンレス、外装は熱伝導率の高い銅を採用している。内側はフライパンなどにもあるダイヤモンドコーティングを塗布。熱の保持に関してはこの値段帯なら上出来な窯。
・圧力式ではないので「粘り、もちもち」感は弱い
IH式なので圧力IH特有の粘りやもちもち感は弱めになっている。銘柄を引き立てるために粘り、もちもち感は邪道と言う意見もあるので好みの部分ではある。
・保温機能は最低限
保温機能は通常グレードの炊飯器とさほど変わらない。良くも悪くもないただの保温と言った所。
ふっくらもちもちな炊きあがりを重視した炊飯器
上限3万円ふっくらもちもちな炊きあがりを出したい人はこの炊飯器をお勧めする。
TIGER JPC-G100WA
・1.25~1.05気圧まで調節可能な可変圧力IH炊飯
この値段帯では珍しい可変圧力式を採用したモデル。圧力弁が2個あり炊飯中に圧力変更可能のため「甘みと粘り」が出やすく、ふっくらもちもちの米が炊ける。最大気圧も1.25とかなり高め。
・IHは2層だが3mの遠赤9層得厚釜で熱を保持
IH層はパナソニックに劣る2層だが、窯の作りでその点はカバー。合金アルミと純アルミを層にした5層に加え、内側に遠赤外線コーティング1層、外側にはステンレス層の上に【土鍋】を意識した層が上下にわかれている3層。合計9層、厚さ3mmの厚い窯で熱を保持できる。
特に外側のコーティングの作りは細かい。上部にあるかまどコーティングは熱伝導率に優れ、下部にある熱風土鍋コーティングは蓄熱性が高く、2層に分ける事によってより土鍋に近くしたコーティングになっている。この値段帯なら窯はトップクラス。
・2合までなら17分で炊ける少量高速機能
僅か17分で2合分炊くことが出来る少量高速機能があるのも魅力的。ご飯を炊くのを忘れてた時等この時間で炊くことが出来るので炊き忘れても安心。
・ご飯の炊き分けは少ない
ご飯の炊き分けは通常の白米の場合「白米」と「極旨」の2種しかないので炊き分け機能によってご飯の硬さを変える等は出来ない。
・保湿機能は普通
保温機能は通常グレードの炊飯器とさほど変わらない。良くも悪くもないただの保温と言った所。
米粒がたった炊きあがりを重視した炊飯器
上限3万円で米粒がたった炊きあがりを出したい人はこの炊飯器をお勧めする。
日立 ふっくら御膳 RZ-X100DM RZ-V100EM
・1.3気圧 スチーム圧力IH炊飯
1.3気圧の圧力と最高107°のスチームによって外硬め、中柔らかめな米粒がたった炊きあがりが可能。スチームによりしゃっきりとした米を炊くのが得意だが圧力機能もあるのでもっちりにも出来る。IHヒーターは2層タイプなのでまずまず。
・最新機種は蒸気カット機能搭載で置き場所に困らない
旧機種であるRZ-X100DMでは炊く時に出る蒸気を抑えた蒸気セーブ機能が搭載されているが、新機種であるRZ-V100EMだとほぼ蒸気レスな蒸気カット機能を搭載しており、場所を気にせず米を炊くことが出来る。
・スチーム保温機能があるので保温性能は高い
スチームは米を炊く時以外にも保温にも使うことが出来る。スチーム機能のおかげで最大24時間しっとりとした状態での保温が可能。
・最新機種は大火力 沸騰鉄釡、旧機種だと1グレード下がった黒厚鉄釜を採用
窯は最新機種だと合計4層の鉄を主軸にした大火力 沸騰鉄釡を採用。外側は金で塗装しており、主材は鉄、アルミの2層。内側にはカーボンフッ素コーティングを施している。
旧機種だと1グレード落ち、鉄とアルミの2層+カーボンフッ素のコーティングのみとなっている。
旧機種と新機種の違いは窯と蒸気カットの違いと洗えるパーツの数の違いなので予算と相談して選択するとよい。
・この値段でスチームを搭載している弊害
パナソニックもスチーム式IHを出しているが、あちらの作りとはまた別な作りでスチームを再現しているのが日立製。この値段に抑えるために蒸気を貯めておく機能が無いといった欠点もある。この機構が無いと保温時、内蓋に水滴がついて米がべたつく弊害があるので注意。
ただこの問題を抜いてもコスパはかなり良い商品であることは間違いないのも事実。
早炊き、保温機能で米をいつでもおいしく食べたい人向け炊飯器
上限3万円で早炊き、保温機能を重視したい人はこの炊飯器をお勧めする。
TOSHIBA 真空圧力IHジャー炊飯器 炎匠炊き RC-10VST
・真空可変圧力IH炊飯
可変圧力IH式に真空を追加したというこの値段帯では性能山盛りの炊飯器。しかし同じ可変圧力のTIGER JPC-G100WAと比べると最大気圧が1.05と低めになっているので圧力は弱め。
・底面に7つヒーターがあり、かまどのように下から上に強火で炊き上げる
底面にヒーターが多く内臓しており、下から上に熱が通るため、よりかまどに近い炊きあがりに。
・銅&ダイヤモンドコーティングの底厚5m鍛造かまど銅釜
内窯はアルミ、ステンレス、鉄を基材にした3層と、外側に銅コーティング、内側にダイヤモンドコーティングの計5層設計。底面の厚みは5mmとかなり厚く熱の保持に関してはかなり優れている。かまど意識からか構造はどことなくタイガーに似ている感じ。
・真空機能で炊飯の時短が可能で早炊きでも美味しい
東芝製の目玉である真空機能を搭載。真空+可変圧力機能により炊飯の時短が可能。即炊きだと20分前後。
・真空保温機能により40時間美味しく保温が可能
真空保温機能によりおいしく保温が可能になっている保温時間は驚異の40時間。時間がない人や夜に米を炊きその米を朝に食べたい人等にとてもおすすめ。
・炊き分け機能やその他機能も満載
白米は「かため」「しゃっきり」「おすすめ」「もっちり」「やわらか」の5種類の炊き分けが可能。銘柄炊きも5種類出来、早炊き等の機能も搭載している。
中堅の値段だか最高グレードの炊飯器(予算オーバー)
上限3万円はオーバーしているがおすすめなのでこちらも紹介
パナソニック 炊飯器 5.5合 可変圧力おどり炊き 全面発熱5段IH式 ブラック SR-MPA102-K
・可変圧力IH式
タイガー同様可変圧力式を採用している。最初に紹介したパナソニックの炊飯器はIH式だったが、こちらは可変圧力式のため「ふっくら」「しゃっきり」「もちもち」柔軟に炊ける。圧力は最大1.2気圧と高い。
・5段IHヒーターで火力高い
2万円後半代の圧力IH炊飯器はIHの層が2層の物がほとんどで、窯を工夫することによって火力を上げていたり、そもそも火力にこだわっていない商品が多い。しかしこの炊飯器は可変圧力式なのに5段IHヒーターを採用しているため火力が高い。温度の高さは米の炊きあがりに直結するので5段IHは強い。
・ダイヤモンド竃(かまど)釜
アルミとステンレスの2層を基材にし、内側をダイヤモンドコーティング、外側を2種のセラミックでコーティングしている。タイガーの窯に比べたら劣るがこの価格帯なら悪くない窯。厚さは2.4m。
・メニューが豊富
銀シャリ、かため、やわらか、もちもちといった4種類の炊き分けの他、おかゆや麦ごはん、カレー、寿司など[13メニュー]もあるので色々なメニューを酷使したい人はおすすめ。
私が購入した炊飯器
で、結局私が選んだ炊飯器はどれかと言うと
TIGER JPC-G100WA
こいつに決まった。今までの炊飯器がIHだったのでIHはスルーでもっちりふっくら具合を試してみたかったため可変圧力式IHに。
日立のスチーム機能は保温時に米がべたつくのが気になり却下。真空保温が魅力な東芝は機能も満載なこともあり個人的にかなり迷った商品だったが、実際使うとなると自分の使い方では40時間も保温する時が無いのでその分保温機能分の性能を窯の良さに回した方がよいと思い最終的にTIGER JPC-G100WAに決定した。
少量高速機能は私の環境下だとかなり使うので17分で炊けるこの機能は頻繁に使っている。時間がある時は極旨炊きで少しリッチに味わったりと、シンプルで完結的に済む機能しかないので使い勝手がよい。
窯も見た目で分かるぐらい質が良いのがわかる。こういうプラシーボ効果は大事。
以上で上限3万円で考える最適な炊飯器とその選び方の話は終了。少しでも炊飯器選びの参考になったなら幸いだ。
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