VR元年と呼ばれた2016年からはや7年。VR機器界隈も大分煮詰まってきたので、今回はVRHMDを製造している大手メーカー事の強みや弱み、特徴等を話そうと思う。VRHMD購入時の参考程度にしてほしいため、そこまで深い内容は話さずにポイントのみを話すので悪しからず。
現在も活動的な大手VRHMDメーカーに限り紹介をするので単発で販売していた小規模メーカーや国内発売の目途が立っていない入手製の悪いメーカーはまとめて最後に少しだけ紹介する。AR機器に関しては今回は除外。
有名VRHMDメーカー
有名処のVRHMDを開発しているメーカーはこんな感じ
社名 | 製品 |
Meta(旧オキュラス) | Questシリーズ |
HTC | VIVEシリーズ |
VALVE | INDEX |
Sony | PlayStationVRシリーズ |
PICO | PICOシリーズ |
Pimax | Pimaxシリーズ |
Apple | Vison Pro |
DPVR | P、Eシリーズ |
①Meta(旧オキュラス)Questシリーズ
VR界隈を牛耳っている最大手、Meta。
現在はスタンドアロン型VRの「Quest」シリーズに注力し販売しており、Quest2は完成度が非常に高く初心者にも上級者にもおすすめとよく言われる。
VR元年と言われた2016年にHTC ViveとOculus Rift、PSVRの3大巨頭が生まれ、その中の1つとしてオキュラスはVR元年時代から活躍していた。「Oculus Rift」は現Questと違いインサイドアウト型でなくアウトサイドイン型を採用。というかインサイドアウトが無かったという方が正しい。
専用コントローラーを省き、カメラは1つのみにし値段は約6~7万円。HTC Viveより安くそれでいて高品質なVR体験を出来るといった感じの立ち位置。それ以上の体験をするには別途、専用コントローラーとカメラをもう一台購入する必要があり、フルセットでそろえる場合ははHTC vive同等の価格になる。性能としては「PSVR<Oculus Rift≦HTC Vive」の順。2017年にはHTC viveの販売台数を超え国内ではPSVRに次ぐ2位と好成績を残した。(販売台数は約200万台)
特徴としてはこんな感じ。
- 現在販売している製品すべてがインサイドアウト型
- スタンドアロン型の生みの親。スタンドアロンとしての完成度はトップクラス
- 尖った製品はなくオールラウンドタイプの製品が多い
インサイドアウト型推し
Metaの現在販売しているセンサーが必要な6DOF(見る以外に動きも検知できる)の製品は全てインサイドアウト型を採用している。
というか初代Oculus Rift以降の製品(Rift S、Quest、Quest2)は全てインサイドアウト型に切り替え販売しているのでインサイドアウト型のノウハウはかなりある。
インサイドアウト型はHMD外側にセンサーを付けることによって現在の位置を認識しているため、外部のセンサーが要らず、狭い所でもどんなところでも暗所以外基本的に認識することが出来る。その一方アウトサイドイン型に比べ認識精度が劣ったり、胴体や足にセンサーを付けてアバターに反映するフルトラッキングが難しいといった難点も過去にはあった。
しかし時代の進歩と共に、アウトサイドイン方式と同等レベルの認識精度になり、フルトラッキングに関しては流石にアウトサイドインに比べると精度は劣るものの、現在位置からの距離を独立して図るセンサーを導入することでフルトラッキングは可能になり、明確な弱点は消え去った。
流石にアウトサイドイン型には劣るがフルトラッキングも出来。センサーのセットが要らないので手軽で色々な所を動き回れるインサイドアウト型は簡単で楽。
スタンドアロンの完成度が異常に高い
Metaのスタンドアロン機は完成度が非常に高い。特にQuest2はダントツ。
スタンドアロン型はハードウェアの出来とソフトウェアの出来のバランスが上手くできていないと完成度は著しく低下する。
Metaはハードウェアも及第点だが、特にソフトウェア周りは他の追随を許さない出来になっている。
後発のPICO4もスタンドアロン型ではあるものの、ハードウェアはQuest2を超える非常に良い完成度だがソフトウェアがおざなりすぎてスタンドアロン型として遊ぶつもりなら確実にQuest2をおすすめするぐらいソフトウェアの出来は大事。
他では扱っていないソフトもQuestなら扱っているなんてザラ。Meta製ならほとんど大抵のソフトはそろってるのが凄い。
値段、ソフトの豊富さ、PCVRへの対応とVR本体にUSB-C,オーディオジャック3.5mmの2つという利便性の良さ、重さ、本体性能、コントローラーどれをとってもバランスが優れている。省くところは省き、必要な所は全てそろえている製品が多いのが特徴。
尖った製品はなくオールラウンドタイプの製品が多い
スタンドアロン界の王として君臨しており、スタンドアロンと言う独自路線を開拓し終わっており、開拓する必要がもうないため良くも悪くも尖った製品はない。
Quest2 | Quest3 | Quest Pro | |
---|---|---|---|
デバイスタイプ | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR |
トラッキング方式 | 6Dof インサイドアウト (4カメラ) | 6Dof インサイドアウト (4カメラ) | 6Dof インサイドアウト (5カメラ) |
販売価格 | 399ドル | 499ドル | 999ドル |
解像度(片目あたり) | 1832×1920 | 2064×2208 | 1800×1920 |
視野角(水平) | 97° | 97° | 106° |
リフレッシュレート | 120Hz | 120Hz | 90Hz |
対応トラッキング | ハンドトラッキング | ハンドトラッキング | ハンドトラッキング フェストラッキング アイトラッキング |
対応トラッキング (コントローラー) | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 |
重さ | 503g | 503g | 722g |
ポート | USB-C,3.5mm | 不明 | USB-C x2,3.5mm |
Quest proもQuest2に本体性能を上げ、アイトラッキングとフェイストラッキングを足した上位グレードといった位置づけなのでそこまで尖った製品ではなく、近日発売するQuest3もQuest2の順当強化のため現状のまま強化していく製品が今後も販売されていくと予想。
②HTC Viveシリーズ
こちらもVR元年から活躍しているメーカー、HTC。
Viveシリーズはとにかく種類が多く、廉価グレードからハイグレード、インサイドアウトからアウトサイドイン、スタンドアロンまで何でもござれの立ち回り。選択肢も多いがゆえどれを選んでいいかわからなくなりがち。
最近はAR,XR,VR,全てをこなせるスタンドアロンで重量も軽い「VIVE XR elite」が販売された。
特徴としてはこんな感じ。
- アウトサイドインの元祖メーカー
- 外部トラッカーなど純正拡張アイテムが豊富
- 様々なニーズに応じれる製品の多さ
アウトサイドインの元祖メーカー
アウトサイドイン方式の元祖ともいえるメーカーがHTC。
ベースステーションを2つ使用した方式はVR元年からずっと変わらず現在まで至る。ベースステーションによるアウトサイドイン方式をPCVRの標準にしたのはHTCと言っていい。
ベースステーションを販売しているPCVRメーカーは現在でも僅か2社。
7年近くたった今もPCVRにおいてVIVEを淘汰するアウトサイドイン方式のステーションは開発されていないのが現状。
VIVEとVALVE以外の他PCVR企業はHMDとコントローラーのみを制作しており、ステーションはVIVEの物を使用する間借りスタイルが流行るぐらいには強い。
現在VIVEのアウトサイドイン方式の主力商品は「VIVE PRO2」「VIVE PRO Eye」の2種。
VIVE PRO2は高画質、高視野角を推してる商品で、VIVE PRO EyeはVIVE PRO2より画質は悪いもののその名の通りアイトラッキング機能が標準装備されている商品。
VIVE PRO2 | VIVE PRO Eye | Quest2(比較用) | |
---|---|---|---|
デバイスタイプ | PCVR | PCVR | スタンドアロン |
トラッキング方式 | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース | 6Dof インサイドアウト (4カメラ) |
販売価格 | 1399ドル(ステーション付) | 1599ドル(ステーション付) | 399ドル |
解像度(片目あたり) | 2448×2448 | 1440×1600 | 1832×1920 |
視野角(水平) | 116° | 98° | 97° |
リフレッシュレート | 120Hz | 90Hz | 120Hz |
対応トラッキング | × | アイトラッキング | ハンドトラッキング |
重さ | 850g | 800g | 503g |
ポート | USB-C,3.5mm | × | USB-C,3.5mm |
外部トラッカー等の拡張アイテムが豊富
アウトサイドイン方式はトラッカーの追加が容易なため、HTCでは公式にサポートされたトラッカーを販売している。
体をトラッキングする「VIVEトラッカー」や口のトラッキングを行う「VIVE フェイシャルトラッカー」等、公式の拡張アイテムが多いのもHTCの強み。
「VIVEトラッカー」は高精度なトラッカーなので手足全てをトラッキングするフルトラッキングを高精度にしたい人は取り敢えずVIVEトラッカーを買う人が多い印象。ただトラッカー1つあたりの値段が2万程度するのが少々ネック。
「VIVE フェイシャルトラッカー」は外部センサー不要なのでPCVR限定ではあるが、インサイドアウト方式のデバイスとも互換性がある。
VIVE Focus 3限定ではあるもののアイトラッキングを追加できるトラッカーも販売している。値段は高い。
様々なニーズに応じれる製品数の多さ
HTCは様々なニーズに応えるため、分野ごとに商品を幅広く展開している。すみわけとしてはこんな感じ。
- 高解像度、高視野角のアウトサイドイン「VIVE Pro2」
- アイトラッキング内臓型のアウトサイドイン「VIVE Pro Eye」
- PCVR専用のインサイドアウト「VIVE cosmos」
- 最高性能スタンドアロン型「VIVE Focus 3」
- VR、AR、XR対応高性能スタンドアロン型「VIVE XR Elite」
スタンドアロンからPCVR、インサイドアウトからアウトサイドイン、ほぼ全てを網羅していて出来もハズレと思われるような出来の物はないのが凄い所。
VIVE Pro2 | VIVE Pro Eye | VIVE cosmos | VIVE Focus 3 | VIVE XR Elite | Quest2(比較用) | |
---|---|---|---|---|---|---|
デバイスタイプ | PCVR | PCVR | PCVR | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR |
トラッキング方式 | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース | 6Dof インサイドアウト(6カメラ) | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) 深度センサー内臓 | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) |
販売価格 | 1399ドル(ステーション付) | 1599 ドル(ステーション付) | 699ドル | 1300ドル | 1099ドル | 399ドル |
解像度(片目あたり) | 2448×2448 | 1440×1600 | 1440×1700 | 2448×2448 | 1920×1920 | 1832×1920 |
視野角(水平) | 116° | 98° | 97° | 116° | 108° | 97° |
リフレッシュレート | 120Hz | 90Hz | 90Hz | 90Hz | 90Hz | 120Hz |
対応トラッキング | × | アイトラッキング | × | × | ハンドトラッキング | ハンドトラッキング |
対応トラッキング (コントローラー) | 親指と人差し指の部分的なトラッキング | 親指と人差し指の部分的なトラッキング | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | |
重さ | 850g | 800g | 645g | 785g | 625g | 503g |
ポート | USB-C,3.5mm | × | 3.5mm | USB-C gen1x2,3.5mm | USB-C gen1x2,3.5mm | USB-C,3.5mm |
公式サイトでも自分に合った商品を探そう!と専用ページがあるので気になったらチェックしてみてほしい。
https://www.vive.com/jp/product/
③VALVE INDEX
数年前に牙を剥きだしたメーカーVALVE。
VALVEと言うと聞きなれないだろうが、実はあのPC最大手ゲームプラットフォーム「Steam」のメーカー。
- PCVR向けのアウトサイドインのVALVE INDEXの完成度
- 自社プラットフォームであるSteamVRでの安定性
- 秀逸すぎるINDEXコントローラー
完成度の高いPCVR向けのアウトサイドインのVALVE INDEX
VALVEが作成したVRHMDはこのVALVE INDEXのみだが、このVALVE INDEX。異様に完成度が高い事で注目を浴びた。表で比較するとこんな感じ。
VALVE INDEX | VIVE Pro2 | Quest2(比較用) | |
---|---|---|---|
デバイスタイプ | PCVR | PCVR | スタンドアロン、PCVR |
トラッキング方式 | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) |
販売価格 | 999ドル(ステーション付) | 1399ドル(ステーション付) | 399ドル |
解像度(片目あたり) | 1440×1600 | 2448×2448 | 1832×1920 |
視野角(水平) | 108° | 116° | 97° |
リフレッシュレート | 144Hz | 120Hz | 120Hz |
対応トラッキング | × | × | ハンドトラッキング |
対応トラッキング (コントローラー) | 親指と指の完全な追跡 | 親指と人差し指の部分的なトラッキング | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 |
重さ | 809g | 850g | 503g |
ポート | 前面USB | USB-C,3.5mm | USB-C,3.5mm |
PCVRの中では比較的性能も値段もバランスをとれた値になっている事がわかる。
解像度はVIVE pro2やQuest2には劣るものの、VIVEpro Eyeと同じなのでギリギリ及第点。
視野角はQuest2より広くVIVE proより低い108°。リフレッシュレートに関してはVRHMDでは対応が少ない144Hzに対応している。
解像度の低さはやや気になるものの、リフレッシュレートは群を抜いて高い事、解像度が低いためリフレッシュレートの最大値を出しやすい事を考えるとこれはこれであり。
コントローラーの出来は最高レベル。後で詳しく解説する。
ハイスペックなオールラウンドHMDに加えベースステーションも付き、さらにVR界最高峰のコントローラーが付属して999ドルはかなり破格。
自社プラットフォーム動作の安定度
PCVR界はSteamVR対応がまともなハードウェアの前提条件になっており、VALVEはそのSteamの会社のため当たり前だが動作の安定度はかなり高い。初心者にもおすすめ出来る。
PCVRは自由度が高い代わりに不具合も起きやすいので大事な要素。
秀逸すぎるINDEXコントローラー
性能面ではVR界最強のコントローラー。(重さを除く)
INDEXコン | Vive Pro コン | Oculus Touch | |
---|---|---|---|
重さ | 196g | 203g | 126g(電池抜き) |
入力方法 | 静電容量式フェイスボタン、静電容量式サムスティック、トラックパッド、静電容量式インデックストリガー、感圧グリップ | トラックパッド、フェイスボタン、インデックストリガー、グリップボタン | 静電容量式フェイスボタン、静電容量式ジョイスティック、静電容量式タッチパッド、静電容量式インデックストリガー、中指トリガー |
指の追跡 | 親指と指の完全な追跡 | 親指と人差し指の部分的なトラッキング | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 |
電池 | 8時間バッテリー | 6時間バッテリー | 単3×2(30時間) |
特に大きいのは指の完全追跡が出来る点。これが出来るコントローラーは現状VALVEコントローラー以外ない。
指の完全追跡が出来るため、コントローラーには標準で手を放しても落下しない用ストラップが取り付けられている。
電池は内臓バッテリー。個人的には充電が必要ない長持ちな乾電池式の方が嬉しい所。
④SONY PlayStationVRシリーズ
言わずも知れた国内最大手電子メーカーのSony。PlayStationシリーズに対応したPlayStationVRを販売。
- 史上初、CS機専用VR
- 安価で広めた初代、クオリティが良い2代目
- PCVR非対応
史上初、CS機専用VR
2016年にPSVRが出た時はCS機もここまで来たかと本当に驚いた。初代PSVRは出来るだけ皆に触れてもらえるようコントローラーは省き、カメラ一つ+HMDのみで僅か5万円での販売。VIVEやRIFTが10万越えの中での5万で高品質VRを楽しめるというスタイルで当時大成功。
性能は劣るもののオキュラスやHTCと並ぶ成功したVRHMDの一つだったね。
しかし二代目PSVRはPS5の供給が上手くされなかった事も重なり広告も話題性も少なく密かに販売されていった。
二代目は初代と違い、解像度や視野角等すべてが他のVRに引けを取らない性能になっておりハードとしてのコスパはかなり良さげだっただけに残念。
安価で広めた初代、クオリティが良い二代目
初代はPS4の性能の都合上もあったためか単純性能は抑えめ。他PCVRに少し見劣りする性能だったがその欠点を消すために接続の容易さや取り付けやすさ等を抑え、安価で提供しVRというものを広めた立役者になった。
PSVR2は基本性能が大幅上昇。解像度も倍になり視野角も向上。専用コントローラーも付き、カスタム無し標準の状態でアイトラッキングがついていて6万とコスパはかなり良い。
PlayStation VR | PlayStation VR2 | HTC VIVE | Quest2(比較用) | |
---|---|---|---|---|
デバイスタイプ | コンソールVR | コンソールVR | PCVR | スタンドアロン、PCVR |
トラッキング方式 | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) |
販売価格 | 299ドル(ステーション付) | 550ドル(ステーション付) | 799ドル | 399ドル |
解像度(片目あたり) | 960×1080 | 2000×2040 | 1080×1200 | 1832×1920 |
視野角(水平) | 96 ° | 108° | 108° | 97° |
リフレッシュレート | 120Hz | 120Hz | 90Hz | 120Hz |
対応トラッキング | × | アイトラッキング | × | ハンドトラッキング |
対応トラッキング (コントローラー) | × | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 親指と人差し指の部分的なトラッキング | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 |
重さ | 600g | 560g | 470g | 503g |
ポート | 3.5mm | 3.5mm | USB-A,3.5mm | USB-C,3.5mm |
PCVR非対応
PSVRの一番ネックなポイント。
公式の方法だとPCVR非対応なのでPCに接続してもSteamVRで使用不能。
しかし最近、PSVR1をPCVRへ対応させた「iVRy」がPSVR2を部分的にPCに認識させることが出来たのでもう少し月日が経てば非公式ではあるもののPCで使える日が来るかもしれない。
初代と違いPSVR2に話題性はないが商品の性能自体は良く、アイトラッキングもあり低価格とPCVRに対応したら購入者はかなり増えそうなのでさっさと公式が対応して欲しい所。
⑤PICO PICOシリーズ
国内販売が決定してから何かとQuest2と比較されがちなメーカーPICO。
VR最大手のMetaとタメを張る性能や値段でスタンドアロン界隈にて頭角をあらわにしている。
親会社はあの陽キャアプリ、TikTok運営のバイトダンス。とは言っても買収された形なのであまり関りはない。
- 2022年国内販売からわずか1年でスタンドアロンの代表格に
- 販売製品は全てスタンドアロン、インサイドアウト型
- Metaに負けず劣らずな低価格と高性能だが…
2022年国内販売からわずか1年でスタンドアロンの代表格に
PICOは2017年からVRHMDを開発販売しているが当時は法人向けの商品を一部にのみ販売し一般向けのデバイスは国内未発売だった。
しかし2022年6月に「PICO neo 3」と共に日本に本格上陸してから徐々に話題になり始め、2022年の10月に「PICO4」が発売決定されてからと言うもの、PICO4のハードウェアとしての出来の良さと安さから大きな注目を浴び、僅か1年たらずで国内のスタンドアロンの代表格になりあがったバケモン。
Metaレベルの完成度のスタンドアロンは素直に凄い。
販売製品は全てスタンドアロン、インサイドアウト型
2017年に同社の最初のモデルである「PICO Goblin」販売から現在の最新モデル「PICO4」に至るまで全てスタンドアロン、6DOF対応モデルは全てインサイドアウト方式を採用。
スタンドアロンVRHMD製造種類はMetaより多いため、Metaに食らいつける商品を製造できたのかと思う。実際そうなのかはわからん。
Metaに負けず劣らずな低価格と高性能だが…
「Quest2」「 Quest Pro」と比較するとこんな感じ。
PICO4 | PICO4 enterprise | Quest2(比較用) | Quest Pro(比較用) | |
---|---|---|---|---|
デバイスタイプ | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR |
トラッキング方式 | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) |
販売価格 | 430ドル | 900ドル | 399ドル | 1100ドル |
解像度(片目あたり) | 2160×2160 | 2160×2160 | 1832 x 1920 | 2064×2208 |
視野角(水平) | 104° | 104° | 97° | 97° |
リフレッシュレート | 90Hz | 90Hz | 120Hz | 120Hz |
対応トラッキング | ハンドトラッキング | アイトラッキング フェイストラッキング ハンドトラッキング | ハンドトラッキング | ハンドトラッキング フェイストラッキング ハンドトラッキング |
対応トラッキング (コントローラー) | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 | 静電容量センサーによる部分的な指と親指の追跡 |
重さ | 586g | 586g | 503g | 503g |
ポート | USB-C | USB-C | USB-C,3.5mm | USB-C,3.5mm |
最近Quest2が値下げされたが、値下げが無ければPICOの方が安く、さらに解像度視野角も上と単純性能はPICO4に軍配が上がる。
ハードは文句なしでスタンドアロントップなのだが、スタンドアロンとして使うにはソフトがおざなりなのがとても残念。
王道のVRChatやBeatSaberが存在せず、スタンドアロン単体機としては少し力不足感が否めない。
逆にPCVRとの併用を前提で使用するのであればQuest2よりも性能が良く、他のPCVRと違いケーブル1本もしくは無線での接続が出来るのでおすすめ出来る選択。
スタンドアロン前提→Quest2 PCVR併用前提→PICO4
といった印象。
⑥Pimax Pimaxシリーズ
知る人ぞ知る他の追随を許さないほどの高画質、高視野角を売りにしているメーカー。
- 他のVR機器を凌駕するほどの高画質な製品多数
- 150~200°という異次元の視野角
- デカい、高い。
他のVR機器を凌駕するほどの高画質な製品
Pimaxは中国発のVRHMDメーカー。2017年に発売した「Pimax 4K VR」から現在まで、他を凌駕するほどの圧倒的高画質、高視野角、高リフレッシュレートを主軸に製品を制作、販売しているメーカー。
Pimax2作目のVRHMD「Pimax 5K Plus」では6DOFに対応し、2018年にして5K水平視野角150°というバケモンスペックのHMDを販売。製品の単純スペックは同年に発売した「HTC vive pro」をもはるかに上回る。
Pimax 5K Plus (2018発売) | HTC VIVE Pro(比較用) (2018発売) | |
---|---|---|
デバイスタイプ | PCVR | PCVR |
トラッキング方式 | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース |
販売価格 | 699ドル(ヘッドセットのみ) | 599ドル(ヘッドセットのみ) |
解像度(片目あたり) | 2560×1440 | 1440×1600 |
視野角(水平) | 150° | 98° |
リフレッシュレート | 144Hz | 90Hz |
重さ | 750g | 800g |
ポート | × | × |
現在ではすでに8K画質に対応した製品も存在し、今後は12Kに対応、視野角200°、200Hzのスタンドアロン機「Pimax Reality 12K QLED」の販売を予定している。
12Kの視野角200°でスタンドアロンとか完璧じゃないか。
150~200°という異次元の視野角
基本的にVRHMDの視野角と言えば90~110°ぐらいだが、Pimax製のVRHMDは異常に視野角が広い。
Pimaxで発売されている現行機種で最大の物が水平154°垂直105°と他社製品に比べかなり高い事がわかる。
Pimax 5K super (2020発売) | Pimax Vision 8K+ (2019発売) | Pimax Reality 12K QLED (未発売) | Quest2(比較用) | |
---|---|---|---|---|
デバイスタイプ | PCVR | PCVR | スタンドアロン、PCVR | スタンドアロン、PCVR |
トラッキング方式 | 6 DoF マーカーベース | 6 DoF マーカーベース | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) | 6Dof インサイドアウト(4カメラ) |
販売価格 | 1299ドル(ステーション込み) | 1449ドル(ステーション込み) | 2399ドル(コントローラー付) | 399ドル |
解像度(片目あたり) | 2560×1440 | 3840×2160 | 6K | 1832 x 1920 |
視野角(水平) | 150° | 154° | 200° | 97° |
リフレッシュレート | 180Hz | 110Hz | 200Hz | 120Hz |
重さ | 514g | 750g | 不明 | 503g |
対応トラッキング | × | × | アイトラッキング | ハンドトラッキング |
ポート | × | × | USB-Cx3 | USB-C,3.5mm |
人間の視野角は大体水平視野角200°、垂直視野角が125°と言われているが、今までその視野角すべてを補えるVRHMDは存在しなかった。
しかしPimax次回作の「Pimax Reality 12K QLED」ではカタログスペック水平視野角200°、垂直視野角135°と初めて人間の視野角を上回るスペック物であり、期待が高まる。
人間の視野角より広いVRはほぼ現実と言って差し支えないのでは?
デカい、高い
圧倒的高視野角を再現するためにデカいパネルを2枚使用しているので、他のVRHMDと比べてかなりデカい。常用するのには少し煩わしさを感じる可能性も。
とにかく高画質、高視野角、高リフレッシュレートとスペックにガン振りしてるため値段は基本的に高めの設定。次回作の「Pimax Reality 12K QLED」なんて2300ドルである。日本円で換算すると約33万円最強グラボのRTX4090を購入してもおつりが2万程度来るレベルで高い。
現行製品はステーション込みで1400ドルとステーション込みのVIVEと同等程度の値段なので妥当な値段ではある。
次回作に限ってはどの製品にもない魅力があるので33万の価値はあると個人的には思う。
⑦Apple Vison Pro
スマホ界の頂点に立つAppleがVR機器を開発。ARとXRも合わせたポジションでHTCのVIVE XR Eliteに立ち位置は近い。企業向け。
- 12 個の統合カメラによる6 DoFインサイドアウト
- アイトラ、フェイトラ、ハントラ全て完備
- 高い。
12 個の統合カメラによる6 DoFインサイドアウト
通常のインサイドアウト型のカメラはほとんどが4個のカメラで読み取りをしているが、AppleのVisionProはなんと3倍の12個のカメラにより読取をしている。
これにより現実世界と組み合わせたARの認識ズレ等が格段に減り精度が高まる。Vision ProはVRも出来るAR製品と言った立ち位置なのでAppleはここを大事にしたと思われる。
アイトラ、フェイトラ、ハントラ全て完備
アイトラッキング、フェイストラッキング、ハンドトラッキングは全て完備。アバターによる表情を伝える事が出来る。
スタンドアロン機でこの3種を完備している物は少ないので◎。Apple製なのでソフトウェアの出来も良くなるだろうし制度はピカイチになるだろう。
これで軽かったら日常で付けながら色々出来て凄そう。
高い
多分企業向けだからだろうけどマジで高い。「Pimax Reality 12K QLED」より高い3499ドルはバカげている。
現状だと詳しい発表がまだないため、この値段に見合う魅力がApple製品にならあると信じるしかない。
50万越えはやりすぎ?
DPVR P、Eシリーズ
3DOF方式が有名でよくAmazonに並んでいるDPVR、最近6DOFに対応したE4を販売。
実はVR元年の2016年以前からVRHMDを製造している中国の老舗VRメーカー。
- 映像用の3DOFVRが多め
- DPVR E4 はバランスと取れたPCVR機
映像用の3DOFVRが多め
「DPVR E4」と「DPVR E3 4K ゲームコンボ」以外は全て3DOFの製品を作成。
DPVR-4Dは「 L-POINT 」にて会員登録すると提携サイトのVR動画をそのまま見る事が出来たりととにかく動画視聴に特化した性能。一部ではA〇ultF〇sta専用機ともいわれてる。
スタンドアロン機でありながら、「VR Server」という2TBのサーバーを別途購入するとストレージを更に増やすことが出来、そのまま動画視聴が可能。
紹介しておいてあれだが、正直Quest2単体でもA〇ultF〇sta見れるしDMM見れるしQuest2の方が良いと思う。
DPVR E4 はバランスと取れたPCVR機
最新機種の「DPVR E4」は3664×1920の高解像度に、116°の視野角、120hzのリフレッシュレートに加え、本体重量が280g(ストラップ抜き)と軽く、値段は7万円とかなりバランスに優れた商品になっている。
PCVRの選択としては有りかもしれないが、購入者が少ないので人柱前提なのがね…
その他メーカー
現状の国内主要VRHMDメーカーは上記の8つ。
この9つ以外にも小規模、国内発売無しのVRHMDメーカーは多数あるので最後に存在するVR機器メーカーを全てコメント一つでまとめて紹介する。
PC大手企業のAcer。2017年にPCVR向けのAH101,2019年に同じくPCVR向けOJO500を発売以降販売無し。性能は2017、2019年代に発売された他VRHMDと似たり寄ったり。
マザボやグラボの印象が強いAsusもHC102というVRHMDを販売していた。
2018にHC102を発売しておりそれっきり後継作は無し。
ありえんわーでお馴染みDellからも2017年にVRHMDが販売。
PCメーカーのVRはどれも似たり寄ったりな性能。よくもなく悪くもないといった感じ。Visor以降のVRHMDの販売は無し。
富士通もVRHMDをちゃっかり販売。
2018年にFMVHDS1を発売以降は発売無し。VR元年から1-2年は参入を目指して様々な企業が出していたのがうかがえる。
スマホのイメージが強いHuaweiもVRHMDを販売している。
2019年に「HuaweiVR Glass」を、2020年には6DOFに対応した「Huawei VR Glass 6DoF」を販売し、直近だとHuawei Vision GlassというARグラスを2022年に販売している。
あのRazerもVRHMDを作成していた。HDKと書いてある通り開発者向けのデバイス。Razerっぽさは皆無。
サムスンからもOdysseyというVRが発売。上記の紹介に入れようか迷ったレベルには国内でも知れ渡っていたが2018年以降新作が無いため除外。数あるWindowsMRの中では成功した部類だと思ってる。
XiaomiからもVRデバイスが2018年に発売していた。3DOFのVRで特に変わった点はない普通の3DofVRHMD。
現在も販売している数少ないPCメーカー。ThinkRealityは日本国内で販売しているが完全企業向けとして販売しているためこちらで紹介。
他にも2022年にLenovoのゲーミングブランド「Legion」の名のついた「Legion VR700」という商品が販売されたがこちらは日本国内には販売されず終了。
2005年創立の中国最初のVR企業。2019年以降の販売無し。
中国北京にあるVRHMDメーカー。2017年発売のACyclop以外発売無し。
現在も活動的なVR、XRHMDメーカー。AjnaXRとAjnaARを販売しているが、どちらもインサイドアウト方式で性能は悪くない。国内販売はしていないため今回は紹介から外した。
中国のメーカー。発売商品は2つ。ArparaVRは5k解像度に120hzしかも軽いと映像特化型のVRHMD。アップグレードキット「arparaGamingKit」等も販売しており少し話題になるも日本国内には本格販売されずに終了。現在も「arpara5KVR」「arparaAIO5K」の2種を販売している。
世界最小、最軽量のVRHMD「Beyod」を発表しているメーカー。画像で見たけど体積がQuest2の半分ぐらいしかなくてマジで小さい。映像向けで付けている事を忘れさせるほど軽いらしい。変わったアプローチなので少し期待。
日本企業のキャノン一応参戦。とはいっても大衆向けのデバイスではなく、企業向けのMRデバイスといった感じ。性能を見た感じ企業向けとはいえ微妙な印象。
VRが市場に出回るさらに昔の2012年に発売していた。詳しい事は不明。
テレビで有名なLGからもVRHMDが販売されていた。2016年にLG 360 VRが発売。
僅か116グラムの小型タイプのVRHMDで話題になったがそれ以降新作無し。
VR、AR両対応のHMD。VRデバイスは没入感の為目の周りを囲みがちだがこれは囲わず宙に浮いていて斬新。2022年の発売と割と最近商品。もちろん企業向けなので値段は高い。
よくあるWindowsMRの製品。2017年にErazer X1000を発売以降音沙汰無し。
VRの概念が定まっていないはるか昔の2002年に発売していたVRHMD。因みに日本でも購入できたらしい。
2020年に発売したVRHMD。名前の通りスタンドアロン方式。3DOFなので映像作品向け。
中国家電メーカーであるスカイワースからも販売されている。種類も豊富で、販売日未発表品も多く活動的だが国内で販売がされていないためこちらでの紹介。
個人的には頑張ってほしかった企業No1。位置づけとしては上記で紹介したPimaxと同じ高画質、高視野角を売りにした企業。2020年のStarVROne以降音沙汰無し。
携帯CPUで有名なThundercommからsnapdragonの名を借りて「Snapdragon XR2 HMD リファレンス デザイン」というものが発表していた。販売されていたのかは不明。
NVISよりさらに前の1989年に発表されたVPL社 EyePhoneというVRデバイス。画素数は立った8万画素と時代を感じるもののこの時代からVRを作ったのは驚き。
こちらもPimaxと同じような高画質高視野角VRデバイス。2022年にはXTAL3とXTAL3MRを発売。現在も活動的であるが、すべてが企業向けの物であり値段も高い。100万越えはやりすぎ。
今現在も活動的なVR企業で最新機種は2022年に発表した「VarjoAero」。日本Amazonでも販売しているが値段は30万と高め。
2017年に発売したスタンドアロン型VRHMD、情報少なすぎで不明。
台湾企業のXRSpaceから「XRSpaceManova」が2020年に発売。スタンドアロン型で画質、視野角共に2020年発売の同期と同程度かやや劣る程度の性能。
国内未発売だが現在も活動的なVRHMDメーカー。YVR1とYVR2を発売しておりどちらもスタンドアロン型。性能も平均的で悪くはなさそう。
中国のNetflixことiQIYI社が発売しているQiyuシリーズ。QuestやPicoに近い性能だが日本国内展開は無し。
以上で紹介終了。どうしても現状だとQuest2が目立っているがそれ以外にも選択肢が多くある事を分かってくれたら幸い。
個人的な押しはPICOとPimax。Quest2に劣らないPICO4と異次元の性能をしているPimaxはこれからも頑張ってほしい所。
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